第4回研究会 報告


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生命の問題を特定の学問領域に閉じ込めておくことは不可能と言っても過言ではないでしょう。「生循環」という試験的な概念を多角的に捉えるべく、2015年11月26日、白眉センターにて、経済学および植物分子工学の視点から見た生命(観)に関する研究会が開催されました。

 

「あなたの命の値段はいくらですか?」― 殺伐とも思えるそんな問いかけに真摯に向き合うことが、年間40兆円に膨れ上がった医療費を制御する鍵になるのかもしれません。後藤励氏による話題提供「医療の経済評価(HTA: health technology assessment)― 日本の現状と今後」は、始動目前の国のガイドラインを概説。いわゆる「費用対効果」の考え方が試行的に導入されようとしています。しかし、「効果」の評価は一筋縄にはいきません。寿命だけではなく、QOL(生活の質)も含めた指標をみなで構築していく必要があると後藤氏は主張。その生活の「質」を巡って、様々な角度から活発な議論・意見交換が行われました。

 

半場祐子氏による話題提供「遺伝子組換え植物はヒトを幸せにするか~新しい技術の受容と社会的課題~」も聞き手に驚きをもたらす内容でした。我々が日常的に口にしている食品には遺伝子組換え農産物がすでに数多く含まれています。 加工食品では、遺伝子組換えの有無を表示する義務がないケースがあるため、我々は無意識のうちに遺伝子組換え食品を摂取していることになります。一方、広義の「遺伝子組換え」は従来の品種改良の中でも長い時間をかけておこなわれてきており、その恩恵を我々が享受してきたことを無視するわけにはいきません。経済格差による食糧供給の不均衡、一部企業による市場独占などの現実を冷静に見据え、感情論に走らない議論が今後は求められるでしょう。