第2回研究会 報告


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第2回研究会は15名程度の方にご参加いただきました。前回同様、コアメンバーのほか、生命科学、思想史、植物学、天文学、環境史、工学、政策哲学など多様なバックグラウンドを持つ方々と議論を行いました。

 

まず、齊藤氏が「生命科学の現場から考える生循環」というタイトルで、RNAスイッチによる遺伝子操作や細胞プログラミングの話をされました。このような技術は人の健康維持や長寿につながる、「役に立ち、チャレンジング」な研究です。非常にやりがいのある研究ですが、人文系の研究者に話をしたところ、「僕は・・・健やかに死なせてほしい」と言われたことが衝撃だったそうです。生命科学研究者とは異なる人文・社会学系の生命観に触れることで、「生命とは何か」を新しい視点から考える実験系などについて考えていきたいとお話しされました。

 

続いて、西村氏から「生循環学の試験的基礎作り(2):天候と植物が醸成しうる生命観」と題した発表が行われ、前回の議論が深化されました。西村氏のアプローチは、「原始人になったつもり」で身の回りで起こる「循環」と「生命」の類推的関係について思考実験を重ねていくものです。昨今の「直線的な生命観」には「科学的」あるいは「宗教的」「文化的」な考えが色濃く反映されています。「原始的」な観点から考えるということは、それらの影響、特に「科学」を一度取り外し、人間が天体の動きや植物の成長サイクルに自分たちの「生」や「死」を重ね合わせようとする生命観の考察へとつながっていきます。

 

多様な分野からの研究者が集まっていたこともあり、議論の内容は多岐にわたりました。現在の研究の多くは再生医療などで生み出す、作り出す、永らえさせるなどの「直線的な生命観」に根ざしているように思います。一方で人文・社会科学系の研究では、死生学など死の話が多く語られます。その両者を結んで生と死のサイクル、「循環する生命観」について考える。「生循環学」の研究会では異分野間の対話を通して、共通の言語や概念を少しずつ作り出していっています。