第11回研究会 報告


第11回研究会が、2018年7月31日、白眉センターにて開催されました。

西村氏の発表題目「部分を犠牲にすることで全体を利する:Pars pro Totoという生命観」に含まれるpars pro totoとは、「部分に対する全体」という意味のラテン語です。この言葉のごとく、身体の一部や所有物を「身代わり」として差し出すことでより大きな利益を得ようとする儀礼は、古代から行われてきました。こうした習俗について、西村氏はドイツの古典学者ヴァルター・ブルケルトの解釈を紹介。すなわち、このような儀礼の根本は、全ての生物がもっている本能や、生命の進化の原初的なプロセスに帰着するという考え方です。果たして「身代わり」は自己の利益を超えて集団の利益となるのか? 「自己犠牲」を行うのは人間以外ではどのような生き物なのか? それは本当に進化と関わっているのか? 参加者それぞれの立場から様々な意見が出されました。

続いて、半場氏による話題提供「光合成の環境応答メカニズムを探求する―高等植物からコケ植物まで―」は、さまざまな植物を題材に、植物の重要なはたらきである「光合成」のしくみと、環境応答を概説するものでした。上陸したはじめての植物であるコケ植物の重力応答のしくみを解明するために宇宙実験も予定されていることや、都市の街路樹にヒートアイランドを緩和するはたらきがあることが紹介されました。今年の夏が異常に暑いこともあって、街路樹のはたらきには関心を持つ方が多く、諸外国や日本での街路樹の歴史が紹介されるなど、活発な意見交換がなされました。